せきやんのブログ

技術や趣味などについて書きたいことが思いついたら書いていきます。

好きを貫くということ ~大好きな作品に関わるまでの道のり~

はじめに

みなさんこんにちは。せきやんです。

久しぶりの記事になってしまいました。みなさんお久しぶりです。

昨日第10回湯涌ぼんぼり祭りというお祭りが金沢市湯涌町というところで行われていました!

僕もこのお祭りに深く関わらせて頂いたのですが、ここまで辿り着くのになかなかの道のりがありました。

今回は僕がぼんぼり祭りに関わるまでの軌跡を Tourism Project の活動と共に書いていきたいと思います。

長文になりますが、ぜひ読んでいただけると嬉しいです!

Tourism Project のメンバー(後列で中途半端なダブルピースをしているのが僕です)

目次

1. 花咲くいろは湯涌町

まずはいろいろな話の前提となる「花咲くいろは」と「湯涌町」の話からしていきたいと思います!

1.1.「花咲くいろは」との出会い

話の始まりは2011年まで遡ります。2022年現在から11年前の話です。

当時僕が中学3年生のとき、僕は深夜アニメが大好きでいろいろなアニメをリアルタイムで見ていました。

そんな時に放送された作品が P.A.WORKS さんが制作したアニメ「花咲くいろは」でした。

www.hanasakuiroha.jp

花咲くいろはは東京に住む女子高生があるきっかけから地方の温泉街「湯の鷺温泉」にある旅館「喜翆荘」に住みこみで働きながら生活をすることになり、その旅館の従業員と共に一人の少女が成長していく物語です。

当時中学生の僕は、あまり年齢の変わらない女の子が、旅館で働きながらその周りに大きく影響を与え成長していく内容にとても感銘を受けて、大好きな作品となりました。自分も身一つで外に出れば何かできるのではないかと中学生ながら考えたりしていたのを今でも覚えています。まぁ当時そんな勇気はまだなかったのですが笑

また、花咲くいろはは僕が現在でも1番好きなバンドである「nano.RIPE」と出会ったきっかけの作品でもありました。nano.RIPE花咲くいろはの主題歌を歌っているバンドであり、この主題歌が好きになったのをきっかけに nano.RIPE というバンド自体にもハマっていきました。

ここまで読んでいただければもうわかると思うのですが、花咲くいろはという作品には僕の"好き"がたくさん詰まっているのです。

1.2. 花咲くいろは湯涌温泉の関係

そんな花咲くいろははただの少女の成長物語というわけではなく、他にもたくさんの魅力があります。

その中でも特徴的なのが、花咲くいろはの舞台「湯の鷺温泉」は実際に存在する石川県金沢市の「湯涌温泉」という場所を元に作られているところです。

yuwaku.gr.jp

"元に"と書きましたが、実はほぼ一緒と言ってもいいぐらいアニメ内で細かいところまで街を再現されています。

湯涌町では花咲くいろはをきっかけに"アニメの聖地"として観光誘致に成功しています。

湯涌温泉街は有名な温泉街と比べるとかなり小さな温泉地で、正直観光資源が豊富にあるとは言い切れないぐらいです。

ですが、花咲くいろはをきっかけに作品の舞台を一目みたいという多くファンが現地を訪れるようになりました。

また、さらにそれに火をつけたのが「ぼんぼり祭り」というお祭りでした。

ぼんぼり祭りは花咲くいろの作品内で行われた"架空"のお祭りだったのですが、これを実際にリアルでもやってしまおうということで湯涌温泉観光協会によって開催された「アニメから生まれた地元のお祭り」なのです。そしてさらにすごいのが、2022年現在まで感染症などの止むを得ない事情を除いてほぼ毎年開催されています。これはかなり特殊な事例で、度々アニメの観光誘致の成功事例として取り上げられることがあります。

news.yahoo.co.jp

2. 僕と Tourism Project の軌跡

ではここからは僕を含めた Tourism Project がどう湯涌町、そしてぼんぼり祭りに関わっていったのかをお話ししたいと思います。

2.1. 金沢への引っ越し、そしてはじまり

僕は2019年に金沢工業大学に入学することになり、石川県にやってきます。これについての詳しい経緯などは「元不登校が仕事を辞めて大学入学した話 - せきやんのブログ」という記事に書いていますので興味があったら読んでみてください!(こっちもめっちゃ長いですが…)

実は僕はこの引っ越しまで石川県を訪れたことがなく、思わぬ形で花咲くいろはの舞台の近くに住むことになります。「これはチャンスだ!」と思った僕は2019年に行われた「第9回湯涌ぼんぼり祭り」に大学の友達を誘って参加します。初めて肌で感じた湯涌町はまさにアニメの世界に迷い込んだのかと錯覚するぐらい同じですごくすごくすごく感動しました…!

この時は普通に観光客としてお祭りを楽しみました。この時チラッと脳裏をよぎったのが「自分も近くの大学なんだし、ワンチャン運営として参加できたりしないかな…まぁないか」ということでした。これが思わぬきっかけになるとは、当時知る由もなく…

2.2. とりあえず話だけ聞いてみます

ここで話は変わり、2020年の2月ごろ僕は大学の知人(今では友人)から「新しいプロジェクト活動が立ち上がったんだけど、入らない?」という話をもらいます。

当時CirKitという他のプロジェクト活動で忙しかった僕ですが、気になったので「とりあえず話だけ聞かせてほしい」という返事をします。

そして待ち合わせ場所に行くと、複数人のメンバーと待ち構える友人、そして友人の第一声は…


「こちらが参加希望者の方です!」


でした。「え、とりあえず話を聞きたいって言ったよね!?!?」となったんですけど、こんな感じでいつの間にか参加希望していることになってました。そしてなんか参加しました笑

これが僕の Tourism Project との出会いでした。

www.tourism-project.com

2.3. やりたいことやったもん勝ち

僕が加入した当時の Tourism Project は実は立ち上げて1ヶ月も経っていないぐらい本当にできたてホヤホヤでした。しかも、外国人観光誘致という目的だったらしいのですが、それがコロナウイルスの影響で1ヶ月足らずで話がなくなります。

当時は全く何が起きているのかわからなかったのですが、とりあえずイチから何をしたいのか考えてみよう!となり、メンバーそれぞれでアイデアを考え発表し合うことになりました。

そこで僕が考えたのが「聖地巡礼スタンプラリーアプリの作成」でした。元々プロジェクトが観光誘致をやろうとしていたというのと、アニメの聖地巡礼にちょうどハマっていたというのがあり、そこから着想を得て思いついたアイデアでした。さらに、金沢はちょうど「花咲くいろは」の舞台でもあるから、近場でいろいろできるみたいな話をメンバーに熱く語りまくりました。

その結果、見事僕のアイデアが採用されることになりました。他の人のアイデアとの差は完全に熱量にだったと僕は思います。

正直「うまいこといけばアニメ関係者の方とお近づきになれるかも…??」という完全な私欲はめちゃくちゃありました笑

でもそれが熱量にもつながったのかなとも思いますし、やはり"やりたい"という気持ちは大切だなとその時改めて思いました。

2.4. 果てしない道のり

イデアが決まるまではよかったのですが、そこからが果てしなく長い道のりの始まりでした。

具体的にどのようなアプリにするのか、デザインはどうするのか、開発はどうやってやるのか、どうやってアプリを知ってもらうのか、アプリを通してどのような体験を届けるのか、活動の経費をどうするのか、そもそも許可が降りるのか etc...

考えることはキリがなく、まずアプリのおおまかな機能が決まるまでに半年、そして簡単なデモアプリができるまでさらに半年がかかりました。

その間メンバーとは毎週ミーティングを重ね、時に不毛な議論をしたり、脱線をしかけたりしながら、本当に少しずつ前に進んでいるような感じでした。

また、僕が入った当時は7人のメンバーだったのですが、途中で抜けるメンバーがいたりもし、新たなメンバーとして友人を誘ったり、人を集めることも同時並行でやる必要があり、今思うと大変でしたね。

2.5. 大学生っていいよね

そして発足から1年ほど経ったところで、ようやくですが「湯涌さんに話を聞いてもらう!」となりました。もしかしたら道のり的に順序とか間違っていたかもしれませんが、まぁそこは温かい目で見てください笑

実際に湯涌温泉観光協会のHPにあったメールアドレスにメールを送り、今自分たちが考えているアイデアの話を聞いてもらえないかということを伝えました。

正直、突然現れたその辺の大学生の言うことなんてスルーされるのではないかぐらいに思っていたのですが、なんとお時間をいただくことができ、湯涌町へ実際に行って観光協会の方へプレゼンをすることになりました。

まだデモ段階でしかなかったアプリの構想をスライドにまとめ、あとは僕の花咲くいろはへの愛を語った結果、いろいろ内容への問題点のご指摘はいただきましたが、改善しながら話を進めていくことになりました…!

観光協会の方も「なかなか継続して大学生と協力関係を結ぶ機会はないから」ともおっしゃっており、「大学生でよかったなぁ」と思ったりもしました笑

2.6. 新たな目標を据えて

初めはアニメの聖地巡礼で進めていたアプリの話でしたが、観光協会の方と話を重ね「アニメ以外の湯涌町の魅力を伝えるスタンプラリーアプリ」という方向性へ進んでいきました。

僕らも現地の方のいろいろなお話を聞き、実際の観光地ではどう言った悩みがあるのかを知ることで、メンバーだけでは気がつかなかったことをたくさん知ることができたのはとても勉強になりました。

そこからは湯涌さんと話し合い、アプリ開発を進め、また話し合い、アプリを修正して…という繰り返しでした。

正直初めはいろいろな対応の中で失礼なことをしてしまったり、湯涌温泉観光協会の方々にはたくさん迷惑をかけてしまったところもあるのですが、それでもご協力をいただいてアプリを改善していくことができました。

そして、1月の氷室仕込み、6月の氷室開き、7月の第10回湯涌ぼんぼり祭り点灯式と半年間で3回のユーザーテストを行い、10月の第10回湯涌ぼんぼり祭りで「撮っテク!」というスタンプラリーアプリを正式にリリースすることになりました。

そういったテストをする機会を下さったのもすごくありがたかったですし、たくさんの方にご協力をいただいて、実際のユーザーの声や様子を見れたのも僕らとしては大きかったです。たくさんの気づきがあり、それがアプリやイベントの運営への改善につなげていくことができました。

本当にたくさんの方の支えがあってやっているんだなというのをずっと感じていました。

ちなみに、このアプリは湯涌を巡りながら途中のスポットの写真を撮り、そのままその写真がスタンプになるというアプリです。

写真を「撮る」と言うのと、その英語である take the picture の「take(テイク)」をかけて「撮っテク!」という名前だったりします(ドヤ顔)

totteku.tourism-project.com

3. 第10回湯涌ぼんぼり祭りにて

それではいよいよ、昨日行われたぼんぼり祭りの様子を話していきたいと思います!

3.1. いざ、本番!!

2022年10月22日、過去2度の中止などを得て記念すべき第10回の湯涌ぼんぼり祭りは開催されました。

yuwaku.gr.jp

今回はコロナウイルスの影響を考えて事前抽選による完全予約制のイベントとなりましたが、それでも1000人以上の方が湯涌町への集まりました。

僕らも朝9時から現地入りをし、テントの設営やポスターの設置など準備を進め、10時にぼんぼり祭りは開始しました。

僕らのテントは湯涌温泉街の1番奥の方に設置されており、初めの2時間ほどは人が少なく心配していたのですが、午後になるについて次第に人が増えていき、僕らのアプリを使ってくださる方もいらっしゃいました。

今回のアプリを使った「湯涌フォトラリー」というイベントでは、すべてのスポットを巡ることができると湯涌の温泉の元である「湯涌温泉入浴剤『ゆわくの湯』」がもらえます。実際に湯涌町で売っているものでもあり、それがプレゼントされるということで喜んでいただくことができました!

また、今回は同時に僕らのWebサイト上で「写真コンテスト」というコンテストも行っており、当日撮った写真で応募して賞に選ばれると豪華景品が贈られるようなイベントも開催しています。(まだこのブログの公開日では応募可能です!)

開始早々でバグが見つかり急いで現地で対応するといったトラブルもありましたが(死ぬほど焦りました…)、比較的スムーズにイベントが進んでいき、お客さんのスマートフォンに実際に僕らのアプリが入って使われている姿や僕らが作成したチラシに目を通して下さっている方を見て大変嬉しい気持ちになりました。

僕らのイベント終了の16:30まで順調にことは進み、無事イベント最後まで行うことができました。

ご参加いただいた方々は本当にありがとうございました!

3.2. 光栄の極みでございます

僕らのイベントはここで終了だったのですが、ぼんぼり祭り自体はまだまだ続きます。というか、ここからが本番だったりします。

ここからは野外の舞台でフルートの演奏やアカペラでの演奏、太鼓の演奏、花咲くいろはの声優の方のお話など豪華なイベントが続きます。

大好きなnano.RIPEのボーカルであるきみコさんのゲリラライブもあり、それに立ち会えてファンの僕はテンションがぶち上がってました!!いやー本当に最高だった!!!

そして、ぼんぼり祭りの最後を飾るのが「神迎え行列」からの「神迎え式」「神送り行列」「神送り式」「お焚き上げ」という流れの神聖な儀式です。

この儀式は実際にアニメのぼんぼり祭りで行われたものが再現されており、アニメファンにとっても大切なイベントです。

なんとなんとなんと、今回このイベントの中の「白丁」という、白装束を着てみんなの願いを書いた「願い札」を運ぶという役をさせてもらえることになっていたのです!!!!!

お祭りに関わるだけでなく、その中でも重要なイベントの一役をさせてもらえるなんて光栄すぎて、お話をいただいた時にはすぐに立候補しました!

3.4 一生に一度の大舞台

Tourism Project の仕事を終えてからは、白丁役の準備を行い、最初の神迎え行列が始まりました。

1歩1歩のリズムが決められおり、歩幅などもあわせながらたくさんの人の中を願い札の入った木の箱を担いで歩きます。この箱がかなり重いのと、リズムや歩幅を合わせながら歩くのが実はかなりしんどかったりするのですが、そんなことも忘れるほどこの貴重な経験ができていることを噛み締めながら役をまっとうしていました。たくさんの人にカメラを向けられてフラッシュを浴びるという経験もなかなかに貴重な経験でした。

その後イベントは進み、神送り行列で再び願い札の箱を担いで歩き、最後の神送り式とお焚き上げになりました。

実はここでさらに特別な役を僕はいただいていました。

お焚き上げでは最後に女の子の神様が松明に火を着け、その火をみんなの願い札が入った櫓につけて燃やすことで、みんなの願いが天に届くのです。

その、松明を受け取って櫓に火をつけるという役を僕が務めさせていただいたのです!!

とっっっても緊張したのですが、イベントを締めくくる最も重要と言ってもいいところを任せていただき、役をまっとうできたことは本当に感無量でした。

そうして無事大役を果たし、イベントはみんなの願いが天に向かったのと同時に終了となりました。

お祭りの最後には花火も上がり、「ああ、やりきったなぁ」としみじみ思いました。

改めて、ぼんぼり祭りを通して花咲くいろはという大好きな作品に関われたことを光栄に思います。

本当に本当に、なかなかできない貴重な経験をさせていただきました。

ありがとうございました。

4. 好きを貫くということ

正直、この金沢に来た時、そして第9回湯涌ぼんぼり祭りに遊びにいった時はまさかこんなことになるとは到底思っていなかったです。

それでも、チャンスを掴んで、たくさんの人の協力をいただいて、自分の大好きなものに関わるという僕の一つの夢を叶えることができました。

正直大変なこともたくさんありましたし、途中で投げ出そうとしたこともありました。

それでもこのような結果になったのは「大好きな『花咲くいろは』という作品に関わりたい」という強い願いがあったからだったと思います。

最初は「できたらいいな」くらいでしたが、その思いは活動をすると共に強く、そして現実的になり、最後は叶えることができました。

こんな経験をした僕から、ここまで読んでくださった皆さんに伝えらることはこれです。


好きを貫くのは簡単なことではない。けれどそれが本当にできた時、最高の経験ができる。


ここ最近よく「好きなことを仕事にする」みたいな話を耳にすると思います。

でも、僕としては"好き"を熱量を保って貫き続けることは思ったより大変なことだと思います。しかもそれを仕事などにしてしまうと辛いことも増えます。

だから、誰にも言うことではないんじゃないかなぁと思ってます。別に「好きなことはたまにの趣味で、それ以外のことで仕事をする」というやり方もとっても素敵なことではないかなぁと思うのです。

なので、無理に好きを継続しなければいけないような環境に置く必要はないと皆さんには言いたいです。

でも、それでも、覚悟があって自分の好きなことに関わり続けたいと思うのならばぜひ挑戦してください。

諦めなければ、最高に素敵な経験が待っていると思います。

どんなことでも人それぞれでいいと思います。

皆さん自身が素敵な人生を送れる選択をしてください。

さいごに

ここまでの長い内容を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

Tourism Project に入り、たくさんの経験をさせていただけたのは周りの人の助けがあったからだと心から思います。

改めて、プロジェクトメンバーや湯涌温泉観光協会並びにその関係者の方々、私たちのアプリを使っていただいた方々、その他我々の活動にご支援・ご協力くださった方々にお礼をさせていただきます。

本当にありがとうございました。

僕は今年で大学を卒業し東京で就職する予定ですが、Tourism Project の活動は後輩を中心にまだまだ続いていきます。

僕も遠方ながらできる範囲で支援したいと思いますが、これからも皆さんのお力を貸していただけると幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします!!


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